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LTV の概要と計算方法

LTV(Customer Lifetime Value)とは、企業が 1 顧客のライフサイクルから 得られる価値の総計のこと。「顧客生涯価値」と訳され、海外では「 CLV 」という言葉で浸透している。

ここでいう「価値」とは、顧客がもたらす「売上」または「利益」のことである。ゆえに、LTV という言葉だけでは、それが売上を指しているのか利益を指しているのか判断できない。

また、同じ LTV を求める計算式でも様々な計算式が存在するので、LTV 同士で安易に比較することもできない。

このことから、LTV は、データカオス(指標の解釈が十人十色)を招きやすい。

データカオスを乗り越える方法

1. 「売上」か「利益」を明記する

前述の通り、LTV と表現すると「売上」を指しているのか「利益」を指しているのか判断できない。

この問題は、LTV売上LTV_{売上}LTV利益LTV_{利益} と表記したり、 LTV_salesLTV_profit のように表記すれば解決される。

2. 計算式を固定し、相対比較する

前述の通り、LTV を求める計算式は多数存在する。同じ LTV を求める式でも、計算式によって異なる値を出力する。ゆえに、どの計算式で算出されたか分からない LTV 同士の比較はナンセンスである。

この問題は、計算式を固定し、その計算式で求められた LTV 同士で相対比較することによって解決される。

競合他社や業界の LTV と比較するような絶対比較は、りんご A とバナナ A の糖度を比較するようなことであり、りんご A とりんご B 糖度を比較するような正しい比較は行えない。

LTV を計算する

データカオスを克服した LTV を導き出すために、以下の計算式で求めた LTV 同士で相対比較してほしい。

計算式

LTV売上=平均注文単価×平均注文回数×平均滞在期間=総注文金額総注文件数×総注文件数総ユーザー数×11残存率=総注文金額総ユーザー数×1解約率=ARPU(顧客1人あたりの平均収益)×1解約率=ARPUChurnRate\begin{aligned} LTV_{売上} &= 平均注文単価 \times 平均注文回数 \times 平均滞在期間 \\\\ &= \frac{総注文金額}{\sout{総注文件数}} \times \frac{\sout{総注文件数}}{総ユーザー数} \times \frac{1}{1 - 残存率} \\\\ &= \frac{総注文金額}{総ユーザー数} \times \frac{1}{解約率} \\\\ &= ARPU(顧客1人あたりの平均収益) \times \frac{1}{解約率} \\\\ &= \frac{ARPU}{ChurnRate} \\ \end{aligned}

データ構造

LTV売上LTV_{売上} を計算するのに最低限必要な項目は、「ユーザーを識別する ID」、「購入金額合計」、「解約したかどうかのフラグ」の 3 つである。

ユーザー ID(PK)購入金額合計解約フラグ
1100001
2200000
3150001
4180001
5100001
6500000
7300001
8130001
9230001
1050001
LTV売上=ARPUChurnRate=総注文金額総ユーザー数解約率=194000100.8=194000.8=24250\begin{aligned} LTV_{売上} &= \frac{ARPU}{ChurnRate} = \frac{\frac{総注文金額}{総ユーザー数}}{解約率} = \frac{\frac{194000}{10}}{0.8} = \frac{19400}{0.8} = 24250 \\\\ \end{aligned}

応用例

1. 商品ごとの LTV を算出したい

商品ごとに LTV売上LTV_{売上} を出したい場合、「ユーザー ID」、「購入金額合計」、「解約フラグ」の基本構造に、「特定の商品を購入したことがあるかどうかのフラグ」を追加する。

ユーザー ID(PK)購入金額合計解約フラグA 商品の購入フラグB 商品の購入フラグ
110000110
220000001
315000110
418000111
510000110
650000011
730000110
813000101
923000110
105000110
A商品のLTV売上=ARPUChurnRate=総注文金額総ユーザー数解約率=16100080.875=201250.875=23000\begin{aligned} A商品のLTV_{売上} &= \frac{ARPU}{ChurnRate} = \frac{\frac{総注文金額}{総ユーザー数}}{解約率} = \frac{\frac{161000}{8}}{0.875} = \frac{20125}{0.875} = 23000 \\\\ \end{aligned}
B商品のLTV売上=ARPUChurnRate=総注文金額総ユーザー数解約率=10100040.75=252500.75=33667\begin{aligned} B商品のLTV_{売上} &= \frac{ARPU}{ChurnRate} = \frac{\frac{総注文金額}{総ユーザー数}}{解約率} = \frac{\frac{101000}{4}}{0.75} = \frac{25250}{0.75} = 33667 \\\\ \end{aligned}

ここで注意されたいのは、複数の商品を購入しているユーザーの購入金額合計を変更しないことである。LTV はユーザー単位で求める指標なので、特定の商品だけの購入金額合計で計算した値は LTV売上LTV_{売上} とは呼べない。

2. 期間を指定して LTV を算出したい

企業活動を長年に渡って行っている場合、商品やサービスの入れ替わりによってユーザー属性が変化することは往々にして起こる。

このとき期間を絞って LTV売上LTV_{売上} を算出したいときは、「ユーザー ID」、「購入金額合計」、「解約フラグ」の基本構造に、「初回購入日」を追加する。

ユーザー ID(PK)購入金額合計解約フラグ初回購入日
11000012021-01-01
22000002021-05-05
31500012022-02-11
41800012022-06-09
51000012022-09-13
65000002023-01-21
73000012023-03-12
81300012023-05-07
92300012023-12-21
10500012024-02-01

本日が 2024 年 3 月 1 日だったときの過去 2 年間の LTV売上LTV_{売上} は下記の通り。

過去2年間のLTV売上=ARPUChurnRate=総注文金額総ユーザー数解約率=14900070.857=212860.857=24838\begin{aligned} 過去2年間のLTV_{売上} &= \frac{ARPU}{ChurnRate} = \frac{\frac{総注文金額}{総ユーザー数}}{解約率} = \frac{\frac{149000}{7}}{0.857} = \frac{21286}{0.857} = 24838 \\\\ \end{aligned}